ポイント!
○まちの中の移動を考える 生活に根づく路面電車
○低床電車のこんないいことあんないいこと
○こんな“低床”路面電車でもまだまだ課題はあるのです |
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【熊本のまちの紹介】
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熊本のまちに、やっと、つきました。
写真は熊本城です。
熊本のまちにもいろいろな所があります。 |
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こちらはすてきなマスターがいるジャズバーです。 |
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多くの人でにぎわう商店街もあります。 |
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【交通を行う】
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そういう熊本のいろいろな場所に行くために、様々な交通機関を使います。
バス、電車、車、自転車、徒歩もそうですね。
人は、家を一歩出た途端、誰もが交通をおこなっており、様々な交通機関が私たちの移動を助けているのです。 |
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【生活に根づく路面電車】
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熊本の公共交通機関で特徴的なのは、路面電車が走っていることです。
路面電車はバスと違って時間ぴったりにきたり、二酸化炭素を出さなかったり(*)と、人にも環境にも有効な乗り物です。
(*)本当は、電気を消費しているので、電力を作っている所では二酸化炭素やウランを出しています。
ここでは、その乗り物が「直接排出しない」という視点でお話をしました。 |
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6 グラフ
こちらは、熊本市民がどういう公共交通機関を利用しているか表すグラフです。バスが圧倒的に多いですが、路面電車も16%を占めています。
一日に換算すると、約7,700人(*)が、路面電車を利用しているということになります(**)。
路面電車は、熊本市民の足として、確かに根づいているのです。
(*)熊本市の人口は、約67万人。
(**)公共交通機関利用率7.2% |
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でも、そんな路面電車に乗れない状況にある人たちがいます。
この路面電車は、地上から約65cm上に客席があるため、出入り口には一段階段があります。
また、写真にはないのですが、運賃箱の横の通路はとても狭くなっており、知佳さんや小寺さんのような、車いすを利用している人は、路面電車に乗ることができないのです。
同じ市民でも、路面電車を使える人と使えない人がいるということは、どういうことなのでしょう? |
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【活動 −みんなが乗れるようにしたい−】
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そんな状況の中、熊本ではみんなが路面電車に乗れるよう、活動してきた人たちがいます。
障害者の自立を支える障害者のための障害者による情報支援組織ヒューマンネットワーク熊本 と、住まいのバリアフリー化をはじめとした様々な分野でのバリアフリーを推進しているバリアフリー研究会 という2つの組織が熊本にはあります。
左が、ヒューマンネットワーク熊本の村上さんです。
村上さんは車いすユーザーで、熊本市議会議員さんも務めており、議員の立場からも熊本のまちをよくしようと働きかけていらっしゃいます。
右が、バリアフリー研究会の白木さんです。 |
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こちらは、熊本で村上さんの説明を受けているところです。
その他にも、お写真はないのですが、熊本県議会議員さんにも平野みどりさんという、女性の県議員さんも車いすユーザーの立場から活動していらっしゃる方がいたりと、熊本市で10年以上も街をよくしよう、電車やバスにみんなが乗れるようにしよう、と
盛んに運動が続いてきました。 |
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【LRTの導入 −みんなが乗れるようになった−】
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そういった活動の結果、路面電車ついては、LRT(*)の導入に結びつきました。
このかっこいい電車が、LRTです。
LRTとは、ライトレールトランジットの頭文字をとったもので、みんなが乗れるという面だけからではなく、環境やエネルギーへの配慮といった、まちづくりの手法の一部として新しく導入されたシステムのことを言います。
みんなが乗れるこの電車の車両についてのみ指すときは、LRV、つまり、ライトレールヴィークルとよばれます。
LRTの方が一般的なので、ここでは以降、この路面電車のことをLRTと呼ぶことにします。
元々ドイツ製の車両なのですが、日本でも走れるよう日本の会社が技術改良を加えて、熊本では平成9(1997)年8月から日本で初めてのLRTが走り始めました。
(*)一番初めのポイントの部分では、「“低床”路面電車」、発表部ではLRTといっていますが、言い方の違いで、大まかに言えば同じ物を指すと思います。
ただ、原則言葉を揃えた方がいいのでしたら、どちらかに統一したいと思います。 |
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ご覧のように、LRTの出入り口には段差がありません。 |
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車いすユーザーでも、楽に、自由に、乗ることができます。 |
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車内に入ったところです。 |
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ちょっと見づらいですが、車内には車いすユーザー用のスペースが設けてあります。 |
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車内はこのように、とにかくひとつも段差がなく、お年寄りや子供も安心して乗り降りできるようになりました。 |
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また、窓もとっても大きくなっています。 |
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熊本の街を気持ちよく眺めながら、電車に乗ることができるのもLRTならではなのです。 |
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LRTはみんながすぐに乗り込めることができ、レールのあることによる安心感も持ち合わせる
交通システムなのです。 |
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【残された課題】
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でも、LRTが導入された熊本でも、実はまだまだ課題は残されています。
これは、路面電車の駅、電停です。
幅が1mしかなく、車いすユーザーが一人通るのに
やっとの幅です。
車いすの幅は約80cmですので、だいたい20cmの余裕しかなく、怖い思いをしながら電車を待っていなければなりません。
もし、車いすユーザー同士がすれ違うことがあったら、どうすればいいのでしょうか?
しかも、このぎりぎりの幅1mでさえ、確保できていない電停が35電停中、22電停もあるのです。 |
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よって、熊本市交通局は幅1m確保できている電停を「バリアフリー駅」と定め、案内しているのが現状です。
写真では見づらいですが、電停に車いすマークがあるのがおわかりでしょうか? |
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また、LRTの本数も大きな課題となっています。
熊本を走っている路面電車の大半は、まだ段差が65cmある車両なのです。
44編成中5編成、約1割しかLRTではありません。
よって、車いすユーザーは20〜25分、
乗れる電車を待っていなければなりませんが、
車いすユーザーでなければ、5分も待っていれば、
次の電車に乗れるのです。 |
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このように、LRT同士がすれ違う場面は、
本当に貴重な瞬間でした! |
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【まとめ】
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ただ、課題はまだまだ残されている熊本の路面電車ですが、これからもっともっとよくしていこうという動きがあります。
熊本だけではなく、広島や岡山でもLRT導入の動きがあり、だんだんと日本全国に広がりつつあります。
これからも、その街にあった街の中の交通システムが
進んでいくことでしょう。 |
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