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2006年度 人にやさしい街づくりを提案する

第6回 福祉を考える
とき:8月26日(土)13:00〜17:00
ところ:愛知県社会福祉会館 3階ボランティア学習室
 

講義「障害児を育てる−地域・仲間・余暇支援−」
      講師:田中弘美さん(障害を持つ子どもの父母のネットワーク愛知 代表)→こちら

講義「人口構造の変化と、社会福祉の変容」
     講師:大友昌子さん(中京大学社会学部 教授)→こちら

グループの時間→こちら

13:05 講義「障害児を育てる−地域・仲間・余暇支援−」

    講師:田中弘美さん(障害を持つ子どもの父母のネットワーク愛知 代表)

1.1000通のアンケート調査から子どもたちのくらしを知る
「こんな"現在"って楽しくない!!? 愛知県における学童期の障害児の生活実態調査報告集」2000年発行
データがあればもっと理解してもらえるはず→アンケート調査実施 
・ アンケート調査実行委員会には、親、専門家、関連機関等の方が参加
・ 授業、委員会活動、通学、友人関係など約50件の質問項目
・ 愛知県内の親の会や学校を通じて2000件配布し1000件回収! 高い回収率にさらに、まわりの反響を呼ぶ
・ 予想できた回答内容だが、改めて認識を高める

アンケートから見えたもの
・ 遠い養護学校と学区内の障害児学級
名古屋市立の養護学校は4校→通学時間は片道2時間のケースもある
   対象とする障害が増え、児童も増えマンモス校になった。ワースト10の中に愛知県内の学校が6校入っている!→児童数に対して設備が不十分となるなど、多くの問題が生じている。
・ いつもお母さんといっしょ
地域の友だちがいない。知り合えない。地域との関わりがない。
子どもにとっては自立心が育たない。親にとっては子離れができない。
・ TVが友だち→貧しい余暇支援状況
放課後「何もしていない」という回答が一番多かった。

2.親の会 仲間づくり
父母ネット立ち上げの理由と役割
・ 孤立しないために、本人にとって、家族にとって「仲間」は必要
・ 専門家のアドバイスだけではダメ、先輩からのアドバイス、親の横の繋がり
ネットワークづくりを目的とした団体活動
・ 会員200名。障害の種類は限定しない。社会には様々な人たちがいて、困っていることを共有できる。それぞれの大変さを知り、協力し合っていく。
・ 行政との関係、要望書提出など
・ 就学について、兄弟のこと、性について、制度等について勉強会
「Dear.Brother&Sister〜障がい児のきょうだいたちのホントの気持ち」発行

3.制度で変わるくらし
支援費制度で子どもの生活が変わった
・ 親とではなく、ガイドヘルパーと出掛けることができるようになった
(名古屋市は通学にもガイドヘルパーが利用できる)
見えてきたこと
・ 親がいつまでも子どもを抱えこむのではなく、社会との関わりを考えること。ある程度の年齢からは社会にだしていく。他人と接することで、子どもは自分というものを知り、相手に意思を伝える必要性、方法などを身に付けていく。
障害者自立支援法に変わる中で
・ 居宅サービスと施設サービスを費用面から比較すると実は施設サービスの方が高くついている。施設にかかる費用については専門家の間では議論されない。
・ これまでは施設で大人数の人たちをみてきたが、これからは地域で小さな人数を支えていくという考え方を進めていきたい。

4.子どもが育つ環境づくり
JOYクラブの設立とサイパンツアー
・ じっと見ていると子どもはサインを出している→それをひっぱってあげる
・ 子どもの余暇支援のためのJOYクラブ
・ 「できるようにする」ということが目的ではない。プールの時間など初めは参加せずじっと見ているだけの子もいる。その子がどう楽しむかが大切。
・ 親だけで出掛けると気遣いなどで疲れるので、支援者、専門家などいろいろな人とプロジェクトチームをつくりサイパンツアー実施。初めて見る海を体験。

5.地域の中で暮らすこと
・ 大人も子どもも地域で当たり前に暮らす
・ 支え手の減少や家族体系の変化の中で施設から地域への本当の意味

14:45 講義「人口構造の変化と、社会福祉の変容」
          講師:大友昌子さん(中京大学社会学部 教授)

1. はじめに―「人にやさしい街づくり」をめぐる問題意識
・ 日本では市民社会が未成熟だと言われている。
・ 日本の社会福祉は、振り返ると行政主導の傾向が強く、市民もその状態に慣れてきた。
・ これからは市民の立場からの発想を大切にし、市民が自ら汗して築く市民主導型の社会を創ること。
・ 人にやさしい街づくりは、空間構成を「人にやさしいモノに変えていこう」というハード面と、思想としての「人にやさしい街づくり」という理念がある。
・ この理念を明確にすることが方向性として実践や活動に繋がる。

2.「福祉」と「社会福祉」、そして「公共性」について考える
・ 「福祉」とは相互扶助や助け合いがその原点であると考えている。相互扶助や助け合いが、「家族・親族・顔見知りの人々の間」から「見知らぬ人・他者」へと拡大したときに「社会福祉」は成立した。
・ 近年、「公共性への問題関心」が学界において再び高まり、「社会連帯」ということばも再度、陽の目を見るようになっている。「公共性」は「公共空間」「公共の場」などと使われるが、「人にやさしい街づくり」の実践とそれが持つ思想性は、この公共性の課題である。
・ 「公共性」「多様性」「市民社会」「国家」といったキーワードに注意をはらいながら、「人にやさしい街づくり」の思想の中に、性、年齢、障害の有無、肌の色、異文化などによる差別を排除する価値観をしっかり盛り込むことが課題であると考える。
・ 「市民的公共性」はこれまで私的な事柄とされていたものを「公共的な事柄」へとシフトさせること。
・ 「人にやさしい街づくり」は「異他的なものとの共存」をモノと思想の両面で創り出すこと。

3.人口構造の変化と、社会福祉の変容
・ 現代日本社会が直面する少子高齢化の課題と、世界規模での人口高齢化の課題。
・ 少子高齢化は先進国のみの問題ではなく、東アジア全域で急速に進んでいる。発展途上国では所得水準が低い段階で高齢化を迎える。

4.少子高齢化問題の取り上げ方と社会福祉政策の転換
・ 「増大する社会保障費を抑制し、かつ増大する福祉ニーズの要請に対応して質量ともに社会福祉のレベルアップをはかる」という課題を解くために出された基本的なコンセプトが「公助・共助・自助」。
・ 介護保険は日本のそれまでの社会福祉を大きく変えた。高齢者は福祉サービスの利用者、消費者として位置づけられた。
・ 障がい者の自立、地域生活を支える、支援費制度が2002年度スタート。
・ 予想外の利用者の増加、財政難のため、同制度は廃止になり、2006年度より障害者自立支援法が始まった。利用者に1割の負担。
・ 障がいを持つ人のうち、働ける人、福祉就労の人、働けない人を区分するものになっていくと予想される。一般企業への障がい者雇用の促進が進められる。
・ 『日本社会は「経済成長と労働生産性上昇の無限のサイクル」から脱却して、持続可能な「定常型社会」を目指すべき。日本は公共事業によって、経済拡大の下支えが行われてきたが、それをやめて、ワークシェアリングを行うべきである。・・・「医療・福祉重点型」ともいうべき姿が妥当であり、市場の失敗の起こりやすい医療や福祉分野においては公的な保障をしっかり維持するとともに、年金は大幅なスリム化を行い、所得再分配機能を中心とする(厚めの)基礎年金主体のものに縮減すべきである』と提言している。(広井良典『生命の政治学―福祉国家・エコロジー・生命倫理』岩波書店)

5.生きられる「老い」の視点から
・ 生き方としての老いへの問いより、「老人問題」という労働や福祉をめぐる社会的な対策に焦点があてられてきた。
・ 高齢社会のプラスを認めることからすべての人間が自分自身を生きることができる社会になると「高齢社会をよくする女性の会」樋口恵子氏は指摘。

6.ふたたび「人にやさしい街づくり」をめぐる問題意識
・ 人口問題は21世紀、人類が直面する最重要の課題である。
・ 「人にやさしい街づくり」を考え実践していくバックグラウンドとして、人口構造の転換が何をもたらすのか、特にアジアの開発途上国の人口問題と社会福祉について、今後も関心を寄せていきたい。

16:15 グループの時間

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