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2005年度 私らしくまちで暮らす
第6回 【生きる】 |
日時:9月3日(土)13:00〜17:00
会場:愛知県社会福祉会館3階ボランティア学習室
第6回【生きる】
各グループ発表
講義 社会的弱者と運動―障害者運動の歴史―
山田昭義(やまだあきよし)さん(社会福祉法人AJU自立の家)
事例報告 介護保険制度
中村朱見(なかむらあけみ)さん(中村社会福祉士相談所)
グループ討議 |
今回は「知る・学ぶ」の4回目。第6回のテーマは「生きる」。障害者運動の歴史と介護保険制度の見直しについて学びます。 |
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13:00 はじまり
4グループが先回のグループ討議の内容を発表しました。(下の写真)
13:10 講義 社会的弱者と運動―障害者運動の歴史―
山田昭義(やまだあきよし)さん(社会福祉法人AJU自立の家)
14:40 事例報告 介護保険制度
中村朱見(なかむらあけみ)さん(中村社会福祉士相談所)
15:10 <休憩>
15:20 グループ討議
各グループで、今日の講義と事例報告をもとにディスカッションします。
16:40 次回の連絡&後片づけ
16:50 終了
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各グループ発表
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Aグループ
・あまり公共交通機関を使っていないことが分かった
・自力で移動できることが交通の権利と言える
・渡部さんの活動について、自分はどのくらいできるかということを話し合った
→責任があるので、ボランティアとしてはなかなかやれない
・NPO間のネットワーク、情報交換が必要 |
Cグループ
・公共交通機関は利用するのに不便→使いにくいところは声にだす
・ハード・ソフト、特にハートの部分が必要 |
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Dグループ
・公共交通機関、車とあり、それを補完するものとしてのスペシャル・トランスポート(NPOのサポート)
・図書館と同じ考え方で公共交通も利用者が多ければ税金で支えてもよいのではないか
・移送サービスをボランティアでしていくのはとても大変。また、ボランティアとは何だろうとなった。 |
Eグループ
・公共交通機関と車の両立を図ることが大切
・どんな人にでも交通権がある。生活の質を上げている
・電車やバスなど公共交通機関は街の財産
・自分が障害者になったら、移動ネットあいちに行くだろうと思った |
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講義 社会的弱者と運動
―障害者運動の歴史― 山田昭義さん (社会福祉法人AJU自立の家) |
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●福祉の街づくり運動黎明期 ○昭和48年よくする会発足と車いす全国集会 ・昭和48年、仙台市で車いす市民全国集会が開かれた。名古屋ではよくする会(愛知県重度障害者の生活をよくする会)が発足し、車いすの仲間が運動を始めている。 ・人口50〜60万の仙台市で、駅には車いすで利用できるトイレがあり、百貨店にはぜんぶ車いすで利用できるトイレが付いていた。200万都市の名古屋に車いすで利用できるトイレがどこにもなかった。 ・仙台の仲間が使っていたのは「生活圏拡大運動」だったが、これからは権利の権を使うことが集会で合意され、「生活権拡大運動」となった。
●障害の概念の確立 ○国際障害者年「完全参加と平等」 ・1981年に国連で、国際障害者年「完全参加と平等」をテーマに目的が決議され、運動が始まった。障害とは社会がつくったもので、あなたたちが障害者をつくりだしているということ。 ・結果において、一部の人を排除する社会は脆くて弱い社会と言える。当時、学校に行っても、どこに行っても、障害者はほとんど見当たらない。養護学校というものをつくり、障害者だけを集めた。教育ではインテグレートと言って、統合教育が薦められており、日本は遅れていると国連から勧告を受けている。
●DPI世界会議結成の持つ意味 専門家から排除された事に対しての対抗意識から生まれた。 ・カナダで、専門家が集まったRI会議(リハビリテーション・インターナショナル)があった。当事者である私たちにも発言権を与えるようにと運動をしたが、専門家は「NO」と拒否した。 ・障害者福祉であれば、障害者の声を聞くことが当たり前のことである。知的なら知的、聴覚なら聴覚、車いすなら車いすの障害者の意見を聞くことが一番である。当事者の声を聞かない専門家に対する疑問が生まれた。 ・ミスタードーナツ(ダスキン)は1981年から毎年、約10人の障害者を顎足付きでアメリカのバークレーを中心として自立生活運動に一年間研修に行かせた。研修から帰ってきた人たちが日本の自立生活運動をつくった。 ・DPIのテーマは「われら自身の声」。世界の障害者運動は、どちらかと言えば、専門家対当事者という構図になってきた。日本の現在の障害者運動も同様である。
●社会的弱者と専門家 ○貧しい社会では、福祉政策はなく家族に殆ど依存してきた。 ○障害者もお年寄りも施設に行きたくて行っている人は、ほんの一握りの人。介護保険は介護は地域で支えるという趣旨である。行きたくないところに行かされるのであれば、施設は収容所と同じ。 ○僕たちは運動してきたことで、障害者=社会的弱者ではなくなった。障害は社会がつくりだしたが、社会が障害を取り除いていってくれたことも事実。 ○声を出せない高齢者こそ最も立場の弱い弱者と言えないか。
●介護保険と支援費制度の違い ○地域で自立した生活を創るという理念は同じ。 ・地域社会の捉え方が当事者と専門家とではまったく違う。理念は同じでも実質では介護保険と支援費制度では全く違う。 ○介護保険は、徹底した専門家・家族主導による制度。結果は重篤な症状になったら施設。
●これから ひとまち講座の役割は、障害者を核とした、高齢者やいろいろな人を巻き込んで、ノーマライゼーションの街づくりをしていくこと。皆さんが市民として、障害をつくらない社会をつくっていくこと。施設から出て地域で支えられるしくみをつくっていくことが福祉。それは、ハートではなく、しくみをつくること。
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事例報告 介護保険制度 中村朱見さん
(中村社会福祉士相談所) |
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●なぜ介護保険が生まれたのか(介護保険の目的)
●介護保険の主な仕組み
●介護保険の現状と課題 ・
約70万人が介護サービスを受けていない。さまざまな利用抑制装置がセットされているからである。 @利用者負担1割 A要介護認定を受けるまでの煩雑なプロセスと時間 B区分支給限度額設定 C施設入所やショートステイ等のサービス提供量不足等 ・ 措置から契約に移行して、行政が関わる相談機関や訪問活動が縮小し、地域の見守りや問題の早期発見など機能低下、結果的に問題をケアマネージャーに押しつけている感がいなめない。
● 介護保険の見直し ・
軽度者の大幅な増加、軽度者に対するサービスが状態の改善に繋がっていない。 →予防重視型システムへの転換 ・
在宅と施設の利用者負担の公平性、介護保険と年金給付の重複の是正 →施設給付の見直し ・
一人暮らし高齢者や認知症高齢者の増加、在宅支援の強化、高齢者虐待への対応、医療と介護の連携。 →新たなサービス体系の確立 ・
指定取消事業者の増加など質の確保が課題、利用者によるサービスの選択を通じた質の向上、実効のある事後規制ルール、ケアマネジメントの公平・公正の確保 →サービスの質の確保・向上 ・
低所得者への配慮、市町村の事務負担の軽減、より主体性を発揮した保険運営 →負担のあり方・制度運営の見直し ・
住み慣れた地域で生活継続が可能な「介護・福祉基盤」の整備、地域再生のための補助金改革 →介護サービス基盤のあり方の見直し
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グループ討議
※Dグループに中村朱見さん、Eグループに山田昭義さんに参加していただきました。
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Aグループ ・今回はメンバーが順番に意見を出していくのではなく、フリートークで、ポイントとなる事項を付箋に書いてB紙に貼っていき、後でまとめていく手法で議論した ・メンバー共通の感想として、障がい者運動の歴史や経緯はよく分かったが、障がい者でない私たち(Aグループは障がい者がいません)に何ができるのか?何が望まれているのか?ということが見えなかった、ということがあげられた →専門家に任せておけば良い、という意見もあるが、やはり我々一人一人が、専門家と当事者の両方の視点を持つことが必要なのでは?という意見にいきついた ・老人ホームに行きたくて行っている人はいないという話しだったが、本当にいないのか?行きたくなるような老人ホームはないのか? →介護する側の意見ばかりが尊重され、棟数や床数ばかりが重視されてきたが、実際に老人ホームは必要で、誰のための施設なのか?という点をどう捉えてきたか、というプロセスが大事 →色々な受け皿が必要 ・介護保険についても、リハビリをメニューに入れている人は介護度が下がっており、そうでない人は上がっている、という傾向がある。 →介護メニューについても、今後は色々な状態の人に合わせた受け皿ができてくるだろう →ケアマネージャが上手くコーディネートしていく必要がある ・
受け皿の例として、たいようの杜の「ゴジカラ村」や「ぼちぼち長屋」はどうだろう、という意見が出た。異世代で障がい者を含んだ自然な交流が図れているという点で、理想のコミュニティではないだろうか?
Dグループ ・中村先生にグループ討議に加わっていただき、介護保険をテーマに活発な意見交換がなされました。 ・人生を楽しむことは、障害のあるなし、年齢に関係なく、誰もが享受すべき権利であるとのもとに介護保険や支援費制度があることが、この討議を通して共通認識できました。 ・その中で、それらの制度を使いにくくさせるための制度改革により制度自体がどんどん悪くなっていくとの意見や、使う必要ない人までがそれらの制度を活用している事実があるとの意見もあり、よりよい制度や仕組みづくりの難しさを痛感しました。 ・討議内容の模造紙へのまとめかたが、だんだん様になってきました。よしよし。
Eグループ メンバー同士、印象に残ったことについて意見を出し合い、その中から「障がい者が地域で一緒に暮らしていくために、必要なもの」が討議の中心となった。 地域住民として一緒に暮らしていくためには、お互いを理解しあうことから始まるが、今の社会では住民同士のネットワークが機能おらず、さらに日常のなかで障がい者と関わる機会がないことで互いを理解し合えない状況となっている。 日常のなかで意見を聞く機会の少ない障がい者にこそ、小さな発言のなかに、社会を変えていくための「キーワード」が含まれていることがある。それを敏感に吸い上げ、社会全体の仕組みとしていくことが必要である。 特別な場ではなく、日常のなかで気軽に立ち寄れ、何でも言い合える場(仕組み)を作り、人と人との繋がりを常に大切にしていきたいということになりました。
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