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2005年度 私らしくまちで暮らす

5回  【動く】

日時:8月27日(土)13:00〜17:00
会場:愛知県社会福祉会館3階ボランティア学習室

第5回【動く】

講義 交通権―社会参加のために―
  森田優己(もりたまさみ)さん(桜花学園大学人文学部)
事例報告 市民が市民のために
  渡部 勝(わたなべすぐる)さん(NPO法人移動ネットあいち)
質疑応答

グループ討議

 今回は「知る・学ぶ」の3回目。第5回のテーマは「動く」。生活のあらゆるところに関わり、生活の質を保障する交通について学びます。

13:00 はじまり

13:10 講義 交通権―社会参加のために―
   森田優己(もりたまさみ)さん(桜花学園大学人文学部)

14:10 事例報告 市民が市民のために
   渡部 勝(わたなべすぐる)さん(NPO法人移動ネットあいち)

14:40 <休憩> 

14:50 質疑応答

15:20 グループ討議
  各グループで、今日の講義と事例報告をもとにディスカッションします。

16:40 次回の連絡&後片づけ

16:50 終了


通権―社会参加のために―
  森田優己さん(桜花学園大学人文学部)
 

○はじめに
・ バリアには、物理的・情報・心理的・制度の4つがある。バリアを取り除こうとするのではなく、使いこなすという考え方で取り組む。例えばバスでは、低床にすれば誰もが使える。
・ しかし、'誰にとっても'という考え方には限界がある。なるべく多くの人が使えるようにと考える。
・ 気持ちの問題や社会のあり方、制度の問題などがあるので、総合的に考えていく必要がある。
・ 障害者や高齢者は特別な存在なのか。誰でも年を取るにつれ使いにくさが増える。ある市の調査では妊婦さんなど住人の25%が交通困難者という結果がでている。内閣府の調査(平成12年度)では、高齢者では、買い物、通院をするときなど、街のどこかに不便を感じており、75歳以上では交通機関に感じている。
・ 通院、通学、買い物など、日常生活では移動がともなう。
・ 障害者や高齢者の交通権の保障をすることは、すべての人の利益に繋がっていく。

○現状確認
・ 赤字経営で公共交通機関の路線休廃止は年々増大している。公共交通機関を使いたくても、使えない状況が生じている。車を運転できない人、車に乗せてもらえない人の生活に影響している。
・ 自動車利用の増大は中心市街地における商業機能の衰退をもたらしている。自宅から5分の距離を車で行く。車を運転できない障害者や高齢者は取り残された存在となる危険性がある。

○障害者・高齢者の人権保障と交通
・ 『障害者の権利宣言』は、障害者が人間としての尊厳が尊重される生まれながらの権利を有すること、可能な限り自立させるよう構成された施策を受ける資格があることを謳っている。
・ 自己決定できることが大切。
・ 障害者・高齢者に対する交通権保障は「福祉のまちづくり」へ繋がる生活環境整備。

○交通権保障と公共交通権の役割
・ イギリスでは、障害者の多くが自動車で移動しているが、他の人に運転してもらっている。自力で移動していない。
・ 公共交通の利点は自力で移動できること。
・ 車を使わない→公共交通を使う→利用者を増やす
障害者の交通権を保障することで、公共交通を誰でもが使いやすいものにし、その他の人にとっても利益をもたらす。低床→乗降時間の短縮→運行速度を速め運行経費節減
・スペシャル・トランスポートの必要性


事例報告 市民が市民のために
  渡部 勝さん(NPO法人移動ネットあいち)

「移動困難者のための」ボランティアによる福祉有償運送

 


1. 白タク行為と呼ばれたボランティア団体の戸惑い

3500の市民団体が移動サービスをしていると言われている。
活動は30年の歴史があり「ご近所の暮らし助け合い」として定着している。
政府は30年にわたりボランティアの活動を黙認してきた。
道路運路運送法は運送事業者のための法律である。
日本にはボランティア活動を認知する法律が無い。

2. 平成18年3月の重点指導期間終了までに愛知運輸支局に手続きを終えること。
愛知県下59の非営利活動団体でNPO法人移動ネットあいちを発足。
愛知県知事へ内閣府にセダン特区申請を要請(今年7月19日に政府承認)
20市9町で運営協議会を開催しNPO等の移動サービスの必要性を検討する。
地方公共団体の推薦状を付けて、愛知運輸支局に承認申請する。

3. 移動ネットあいちの会員団体の基本的な取り組みの姿勢
利用者に安心と安全を提供する。
ガイドラインを厳密に守る。
移動サービス提供の対象者の範囲をガイドラインの移動困難者に限定する。
およそタクシー運賃の1/2以下の有償の対価(運賃表)をできるだけ統一する。
  この制度の抱える問題点等は手続きを終えてから改めて関係省庁に提言する。

4. ガイドラインによる移動困難者の定義(国自旅第240号4.(2)@項に記載)

5. ガイドラインの抱える問題点
乳幼児・子どもは含まれない。高齢者でも単独で移動できる人は含まれない、等。

質疑応答

【質問】公共交通機関の充実することは、とても素晴らしいものだと思うが、中々、良くならない訳があるのでしょうか。バスや電車を待っていて危ないと思うことがある。公共交通機関は車がないので仕方なく使うものというイメージがあったが、車への傾向が子どものころから、染み付いてしまっているのでしょうか。

 

 

【森田さんの答え】
・ 車が無いので仕方なく使うものと思っていると、ここを改善したらというようには出てこない。公共交通機関は街の財産と考えると、もっと違う見方が出てくると思う。
・ バスや電車の危ないところは、きちんと指摘する。
・ バスや電車の中は、移動をするための公共の空間であるという意識を持たなければいけない。

【質問】御近所の暮らしと発展という気持ちはわかるのですが、ボランティアをしている人たちの生活の収入は生活できるだけの糧を得られるのでしょうか。
【渡部さんの答え】
・ 生活はできない。お小遣い程度である。
・ 団塊の世代、経験を積んだ人たちがボランティアの活動の和の中に入って欲しい。そうすれば、ボランティアの活動も活発になる。定年退職して3年ぐらいは年金はない。夫婦二人なら、10万20万あれば生活できる。ボランティア活動しながらそれぐらいの収入が得られるようなプログラムを考えていく必要がある。

グループ討議

※Aグループに森田優己さん、Bグループに渡部 勝さんに参加していただきました。

Cグループ
『交通権―社会参加のために』については、メンバーの多くが車を利用しているため実感が伴ったグループ討議には至らなかった感があった。各自の感想と問題点を出し合った。
・バス路線の廃止
・駅までのアクセスが不便で利用できない
・自動改札、無人駅が増え、車いす利用者は困っている等。
『市民が市民のために』については、たすけあい名古屋等の存在をはじめて知ったメンバーが多くこれも関心は集めたが、メンバーの身近な問題点が話題になってしまった。
※グループ討議の内容については、模造紙にまとまりました。

ポストイットを使い、見栄えはイマイチながら、何とか発表できる体裁を整えた事では、今回の課題が一つクリアできました。


Eグループ
メンバー皆さん、「交通問題とは生活の質の問題」というところに深い関心をもち、豊かな生活の実現のために必要とされる「交通」のあり方について討議が進みました。「誰でも、どこへでも」という交通の「あるべき姿」の実現のためには利用者の立場にたって使うことのできる公共交通の整備が大切。しかし、その実現のため今していかなくてはいけないことは、公共とNPO、ボランティア等の行っている移送サービスなどとの住み分けでお互いが必要とされるニーズに対し応えていくこと。
 誰もが使える公共交通の実現のため、自分たちにできることは、「利用する」「声を出す」「情報交換する」ことということになりました。

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