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提案・研究会

トップページ提案・研究会愛知のひとまちを良くしたいWS第9回

第9回 「暮らし」と「まち」の課題〜子どもと子育ての視点から

■とき:2003年11月14日(金)夜6時40分〜8時50分
■ところ:あいちNPO交流プラザ(名古屋市中区三の丸3-2-1 東大手庁舎1階)
■参加人数:14名
■お話: 伊藤一美、奥田陸子(子ども&まちネット名古屋)
     安井正好(第2中島学童保育所)、鬼頭弘子、他
■資料:子育て支援の現場から〜今、起きていること(伊藤一美)
    子どもにやさしいまちのカタチ 研修会案内
    第2回子育てフェスタinあいち パンフレット
    名古屋エンジョイ子育てガイド チラシ
    地域セミナー瀬戸チラシ
     愛知「ひとまち」を良くしたいWSのまとめのWSのお誘い

カナダの事例の紹介、興味深い内容です

「子育て支援」は最近のことば


子育てが地域とは切りなされると・・・


4週続き・・・きょうは特に議論しにくいテーマのよう

ファミリートイレという発想でアドバイスしてきました

■これまでのおさらいと、今後の予定…
県の検討委員会が12月5日に開かれる予定。愛知県では10年前に条例ができて、今回、初めての改正になる。
WSでは、5回めまでは、愛知県の人街条例や他府県の条例、また交通バリアフリー法やハートビル法等を学習してきた。これまで条例では主として車いすや移動が対象であったが、その他の視点を、ということで、WSの6〜9回めを「視覚」「聴覚」「知的」「子どもと子育て」としてきた。
今月末に、まとめのためのWSをし、その結果で、県へ提案する。
県の検討委員会は12月5日以降も議論は続いていくことになるので、その後、さらに、まとめのWSを2〜3回していこうと考えている。

■奥田陸子さんのお話
子育て中の人にとっては、まちは住みにくい。

<カナダの事例紹介〜子どもや若者が主体的に参加〜>
先達て、伊藤さんと二人で、来年の1月24日(土)・25日(日)に「子どもにやさしいまちのカタチ」(内容は研修会チラシ参照)という研修会を開くため、カナダに取材に行ってきた。
今、カナダではNPOと行政が手を結び「CYFC−子どもや若者にやさしいまちづくり」事業が進んでいる。カナダでは、子どもや若者が主体的にまちづくりに参加している。
日本でも若者が児童館の設計段階から参加し運営をしているという事例を聞くが、杉並の事例ぐらいではないか。
ウェスト・バンクーバーでは、コミュニティづくりということで、まず地域の13〜18歳のすべての人を対象にアンケートを取り分析しWSをした。
幼稚園、学校、公園、行政、商店街、警察など17項目について、子どもたちに聞いた。例えば、警察については「僕たちを敵視している」といった声があり、行政については、自分たちに関係している部署はどこだろうと訪ねて行って対話をした。ヒアリングというより「対話」という手法を採っている。大勢の前でプレゼンテーションするという経験をしている。
ユースカウンシルでは、代表ははじめ一人だったが、大人の前で一人で意見を言うのはプレッシャーがかかるのではと、人数を増やした。
子ども運営の児童館がある。
警察(ポリスといっていたので警察だと思われるが)と一緒にお祭を計画することもある。
SCY(ブリティッシュ・コロンビア州を拠点にする専門家と500人のボランティアによる民間組織)が仕掛け人で、子ども主体の祭をあちこちに仕掛けている。行政の上の人も、地域の大人も子どもも一同に集まってもらう。そこででるいろいろな意見を聞くことで、「子どもにやさしい」とはどのようなことかわかってくる。子どもも意見が言えることで元気になる。

<過疎地の問題点>
過疎地では、集まることのできる「広場」が欲しいということと、街にでにくいという交通問題の2つがあると思う。

<公園づくり〜名古屋の事例〜>
名古屋で公園づくりに子どもを参加させた経験がある。行政側からではなく住民側からやっていきたいと声をだしたもので、あちこちに呼び掛けて集まってもらった。行政側はいついつまでに結果がでたら考慮しましょうということだった。WSでは公園をよく使っている子どもたちからは、いろいろな意見がでるが、大人からはありきたりの意見しかでない。

<カナダと名古屋の事例の比較>
カナダの場合、「対象者」をはっきりさせて、参加してもらう人集めに時間を掛けている。対象者に全部集まってもらう方法。
カナダでは公園の改装をするために2年前からやっていると言われるのに、名古屋は3ヶ月だった。

<たまり場があれば・・・>
今、天白区で地域福祉計画策定委員会を三つのグループに分かれてやっている。障害者グループは障害者のことをやっているが、そのことが他のグループには見えない。
みんなが交流できるたまり場が小学校区に一箇所は欲しい。

■鬼頭弘子さんのお話
<学童保育所について>

一人息子がいる。小学1年から6年まで学童保育所に行っていた。これは共同保育所で親がお金を出し合って名古屋市の助成金をもらいながら運営していた。親が働いていて昼間うちが留守になる子どもたちが、学校の授業が終わってから行くところ。夏休みなどは一日中学童ですごす。子育て中の親が参加するところにPTAや、子ども会活動があるが、それらとは少し違う。学童保育所は地域の中にあり、子どもは学童保育所で育ったといえる。
日本では子どもは「おんな・こども」とひとくくりに言われるように、一人前としてみてもらえない。子どもが20人、30人と集まっていると、まず不審がられる。最近では、深夜コンビニの前にたむろする中学生や高校生が話題になっているが。

<子どもの遊べる場所がない>
15年前に出産。仕事をしていたので保育所に預けたかったが、0歳児を預かってくれる保育所がすごく限られていて、うちの子は預けられず仕事をやめた。今から考えると子どもが3歳になるまでは外に出掛けなかった。今のお母さんたちは車の免許を持っていて、子どもを車に乗せてどこかへ行くが、自分は免許を持ってないので、そういうことができなかった。1対1みたいな生活。そういったお母さんたちは多いんじゃないかなと。子育てサークルなどもあったが、そういうところへ出かけるのも億劫になっていた。
3歳から保育園に入った。お母さんたちとよく話したが、気軽に子どもを遊ばせるところが少ない。時間をつくってわざわざ公園まで行ってまでいかなくてはいけない。今は車が多くてできないが、昔の路地のような、家の前の道路で遊べるといいなと。親は家事をしながら子どもの様子をみることができる。

■伊藤一美さんのお話
<子ども&まちネット名古屋>

子育てをする親のサポートをする人たちの緩やかなつながりで成っている。8団体、個人34人、計42人のグループ。みな、それぞれ活動母体を持っている。

<子育て支援は、最近のことば>
10年前には「子育て支援」などということばは使われていなかった。
なぜ、でてきたのか? 今まで子育ては社会の問題ではなく家庭の問題だった。家庭の中に閉じこめられ親子は誰にも見られない。そういったことで虐待などがあり社会問題になった。
出生率はどんどん下がって、平成14年度は1.3人。少子化により、労働力人口が減って経済成長への影響や、生活水準、家族構成への影響、地域社会に及ぼす問題がでてくると懸念される。そういったことで子育てを支援しましょうということになった。

<子育て支援についての施策>
エンゼルプランなどあったが、最近では次世代育成支援対策推進法、児童福祉法改正、市町村による行動計画策定がある。社会福祉法の関係で社会福祉協議会で地域福祉活動計画をやっており、市町村では市町村地域福祉計画の策定をしている。

<企業が行う行動計画策定>
調査をすると父親の就労時間が長く帰宅が遅いということが、少子化につながっているということがわかった。県別の出生率をみると、子どもを多く生んでいるのは沖縄県で、少ないのは東京都。
それで企業への働きかけが考えられ、300人以上の従業員がいる企業に対しても行動計画策定の指示があった。300人以下の場合は努力義務。
トヨタではフレックスタイム制を導入したり、子どもが病気のとき親が休みを取りやすくするなど。他の企業では工場系では、シフト、ローテーションの組み替えが大変なので、変わっていくことは難しいということだ。

<施策等に対する疑問>
・あちこちで似たようなことをしており、整合性をもって動くのかどうか非常に疑問。
・幼保一元化・・・少子化と、不景気なので親が働きにでたいということから、幼稚園と保育園を一箇所に集めてやる、もしくはカリキュラムを同じにする。待機児童の減少のために考えられる面があり、子どもや親の立場(利用者)に立った対策にはなっていない。
・小泉さんは待機児童を減らすため保育園を増やそうとしているが、それで解決するだろうか?
・福祉予算の68%は高齢者にあてられ、子どもに対して数%。
・助成貧乏…支援しなくてはと、いろいろなNPOに助成金を配っているが、そのNPOがどのようなことをするかということをあまり考えていないよう。
・お与え支援になっていないか?
行政が子育て支援をやらなければならないということで、与える一方の支援になっていないか?
子育ては自分の問題、子どもの責任など親が第一義にもつところは忘れてはいけない。あまりの面倒くささ、しんどさから「子育てやめてもいいですか」ということばまで聞かれるようになってきた。
・高齢者福祉でいろいろなヘルパーの事業をNPOなどがしているが、そういったところが子育て支援の方へも事業を広げてきている。しかし、知識として持っているはずのものがなく、価値の押しつけがあったり、行き当たりばったりのところがある。
・中学生や高校生を対象に赤ちゃんふれ合い体験を文部科学省は打ち出しているが、教育や福祉の分野は縦割りになっているので、学校は動きにくいようだ。

<ネットワークの多層化、重複化>
ネットワークがうまく使えず、気に入った人たちで固まってしまう。

<当事者が声をあげづらい「子育て」「子育ち」の世界>
少し、がまんすれば過ぎていってしまうので、次の世代へ問題が受け継がれない。関係各所へ声をもっていかないといけない。
子育て情報誌やマップが果たした役割は何か?
関係部署にヒアリングに行き、回答を文字として明らかにし残せたこと。個人で抱えてきた問題がみんなの課題になったこと。

<子育ての人が障害者トイレに望むこと>
街では、子育て中の人と障害者と共通のバリアはたくさんあるが、違うところはトイレ。
名古屋市の地下鉄駅のエスカレーターの設置状況を調べたとき、ついでにトイレも調べた。
障害者トイレでオムツ替えのシートが付いていなかったり、子ども用の便座が付いていないと、子育て中のお母さんは使えない。ベビーカーがあれば、それをシート代わりにすることもできるが、抱きかかえたままではムリ。オムツは換えないとかぶれる。ベビーカーのまま入れるトイレがなかったりベビーキープがないとお母さんがトイレをがまんする。使えるトイレがないと、子連れの親は移動は車でということになる。名古屋市が地下鉄駅に障害者用トイレをどんどん設置しているときに、一緒にベビーシートやベビーキープを設置してもらえていたらと残念。

<障害を持って生まれてきた子どもたちとの関わりが非常に薄い>
子育て情報誌の中で、障害を持ったお子さんの場合、どこに行けばよいかといった相談先などの情報は載せているが、実際の障害児のことや、障害児の子育てについてはよくわからない。障害のある子どもたちとそうでない子どもたちの交流がない。障害児が地域で育っていない。一緒に遊ぶことがない。そういう地域社会では障害者に偏見をもつことになると思う。

<今後・・・>
・これまでは、親が親がであったが、これからは「子どもが」に変わっていくのでは?子どもが自分たちの問題を明らかにしていくこと。まちに住む人全員がまちの成員であることを意識したい。
・防災で名古屋市は指定地域になった。プライバシーのことが言われるが、「安否確認」とことばを変えればよいのでは?


■障害を持ったお子さんのお母さんのお話
<障害があることがわかり・・・>
3人の子どもがいるが、引っ越し後に子どもの障害がわかり、知り合いがまったくいないところで、どうしていこうかと。障害のない子とは、分かれていってしまうとは感じていた。
児童館から子育てサークルを紹介された。専門家からのアドバイスや同じような人が何人参加しているのかと関心があった。同じ事情の人たちがいて、落ち着ける反面、よその子の障害の程度が気になった。子どもは騒いで馴染めないようだったが、自分はスタッフの人と話せ少し希望が持て通った。子どものうちから、まず、小さな集団に慣らしていくことが大事、大きくなっていきなり社会ではとアドバイスがあった。
子どもが騒ぐと周りに申し訳なく思った。
普通、お母さんたちは子どもを通じて近所の人と親しくなっていくが、それができなくなった。わからないなりに子どものことを説明していった。理解してくれる人が多かった。

<障害児学級への転校>
小学2年のとき登校拒否になり、転校させたかったが認められなかった。障害児学級はあったが・・・
元気な子が一日、家にいる姿を見るのはつらかった。
親は別居という形にして住所を移し、転校させることができた。
学校の情報は、教育委員会から教えてもらえ、転校を決める前に見学に行った。
見学をさせてくれるということは、よければ転校してもよいということだと考えるが、その点を教育委員会に聞くがはっきりしなかった。
今、通っている学校は障害児学級と親学級の交流が多い。担任の先生の働き掛けがある。

<障害児が地域の学校へ行くこと>
3人障害児がいれば1クラス障害児学級をつくることができる。
障害児学級と普通学級と行き来できるといい。
親の中にはマンツーマンを希望し、養護学校を選ぶ人もいる。交流を望むなら地域の学校と思う。
中学に上がると、2〜3校の小学校から生徒が通ってくる。障害児学級のない小学校から通う生徒もいるはず。そうした場合、障害児との付き合い方がわからない。

今日、子どもは支援費の事業所に預けてきている。晩ご飯はオプション契約。週2回利用。
親べったりというのはどうか? 親自身気づいて欲しい。

トワイライトスクールがあるが、障害児は誰かと一緒に来て欲しいと言われる。でも、学年が上がってくると本人も親が付いていくということを嫌がるし、自分も親が付いて行くのはどうかと思うので、ヘルパーが付いていく。
トワイライトスクールは、きめられた教室の外に自由に出られない。


■安井正好さんのお話
<トワイライトスクールと学童保育所の違いなど>
トワイライトは教室に親が入っていくと嫌がる。
うちの子が通っている公立の保育園は親がどんどん入っていっても怒られない。毎日が参観日。毎日、子どもを送っていくが、しばらく保育園にいて子どもたちの様子を見ている。
トワイライトと学童が併合されるような話を聞くが、学童の良い面をトワイライトへと考えたい。
学童では、よその子もほめるし、叱る。そういった学童のような子育てができる場所を広げていきたい。

 


■質疑応答など
●学童保育所やたまり場といったことがでてきたが、障害を持っている子だけが集まっているような場所は、どう思うか?
・そういったところの方が安心ではある。しかし、そういったところにばかり行っていると地域からどんどん疎遠になる。こういう子がいるんですと地域に知ってもらうことは大切。

●カナダの話にあるように、トワイライトスクールをつくっていく過程で、参加はできないか?
・仕組みをつくっていけないか?
・言ってもなかなか変わらないからと何もしないでよいか?
・地域福祉計画策定などへ参加するようになって、変えるチャンスではないか?

●空き教室の利用について
・文部科学省が来年度から空き教室を使って指導員の指導をするよう。地域の人たちが集まれる場所にできないかと考えるが、学校ということで管理責任が問われる。

●障害者トイレは子育て中の人には使えないということだが、どうすればよいか?
・条例に、小児用便座をひとつ付けることを加えれば、あとオムツ換えのシートをと・・・。
・現場では、そういったモノは付いてきているのではないか?
・付いている場所が、子連れが利用するところなのか? 表示が情報としてでているか?
・ピトグラムが統一されていない。
・オムツ替えというと女性というイメージだが、男性がしたっていい。そういった発想の転換が必要。
・市役所で障害者トイレがあったが使えなかった。ゴミ捨てになっていたり物置になっていた。障害者が使わないから? 使う人が多くなればきれいになるのではないかと、ファミリートイレとした。子どもを連れていると荷物も多いので荷物置き場、おむつを替えるベッド、親がトイレを使えるようにベビーキープも必要。

●当事者参加といっても、いきなり意見を言ったりすることはできないので、トレーニングを受けた当事者が参加できるような仕組みがあると良い。

●子育て中の不利が言われたが、障害児の親だけではなく、障害児の兄弟の不利というのもある。

(記録:橋本知佳)

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