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提案・研究会

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第8回 「暮らし」と「まち」の課題〜知的障害と支援の視点から〜

■日時 2003年11月7日(金) 18:40〜20:45
■会場 ウイルあいち
■テーマ 「暮らし」と「まち」の課題〜知的障害と支援の視点から〜
■参加者 28名
■話題提供者多数

自分達でグループホームを造りました

きょうは参加者も多くにぎやかです

一人一人に合わせてサポートブックをつくっています

病院では障害に対する配慮がない・・・

知的障害者のガイドヘルパーは歩行困難者の車いすのようなモノ

趣旨説明の後、参加者自己紹介

■■ ディスカッション ■■
以下は、話された順ではなく、グルーピングして記述してあります。

■「まちづくり」「条例」と言っても…■
・あるものを使ってどうしたらいいか…ということをしてきている。
・静岡でも、まちづくりカレッジというのがある。静岡駅前の国道1号線の下に地下駐車場をつくって、そこに、EVを3台設置したり、点字ブロックを増やしたり…。

■ガイドヘルパーに関連して…■
・静岡では、知的障害者のガイドヘルパー制度がなくて、行政に訴えたら、制度ができた。
 この4月からは、支援費制度になった。
・名古屋市では、1997年から2002年まで、試行事業として、ガイドヘルパーがあった。
 2003年からは、支援費の中に、移動介助としてガイドヘルパーがあるが、ヘルパーが少なくて、実際には制度を利用できない。
・ガイドヘルパーを支援費で使えるようになって、地域でよくみかけるようになった。
・車いすを使うように、知的障害者がガイドヘルパーを使えばいい。ガイドヘルパーも福祉機器も同じ。
・ガイドヘルパーが必要な人も、必要ではない人もいる。
・ガイドヘルパーをしていて、「連れ出して!」と言われても、行ける所がない。
・プールに連れて行って、「飛び込んではダメ」と言われても、勝手に飛び込む。周囲の人にあきらめてもらう、理解してもらう…そうすると、自分の居場所ができる。
 「必ずガイドヘルパーを連れて来い」というが、ヘルパーがついていて「あたり前」ではなく、みんなが見守っているように。
・ヘルパーにプールへ一緒に行ってもらっているが、ヘルパーは、「親では辛いでしょ、私たちは仕事だから…」と言う。
 親は、「迷惑をかけられない」と思ってできないが、ヘルパーは、やっていく。

■グループホームの話■
★適当な建物がない、借りられない
・知的障害者のグループホームが少ない。それで、自分たち障害者がつくった。
・昨年の8月に事務所を借りたが、借りるのに2ヶ月かかっている。重度身障者のための駐車場の条件にあてはまるものが、ようやく1件あった。
 そして、今は、「グループホームを探して…」と、不動産屋に言っているが、広さを満たす所がない。4LDKのマンションならいいが、マンションは、隣近所がダメと言う。
・ヘルパーが集まって、事業所をつくったので、その強みをいかして、グループホームを立ち上げたいが、いい所がない。お金もないし、借りるのもたいへん。
・今借りて住んでいるグループホームも、周りを説得してきた。
・障害者が住むからといって、「貸さない」といういのは、「差別」だ。
・家については、視覚障害者も同様で、「火が危ないから貸さない」と言う。

★今のグループホームは?
●ケース1
・潰れた会社の社員寮。3階建て。
・現在4人。
・2階で、宿泊体験をしている。グループホームに入る前の「練習」になる。
●ケース2
・静岡駅の南の一軒家、7DK。1階に5部屋、2階に2部屋。駐車場は5台分。家賃は、月13万円。元は、社員寮。
・当事者が、自分で声をあげて、グループホームを立ち上げた。11月で1年になる。ようやく軌道にのってきた。
・今は、5人いる。当初は、2人で始めた。2人では家賃負担がキツイ。
 市の窓口にチラシを置いたら、問い合わせがあって、1ヶ月体験してもらって、「大丈夫」ということで、加わってもらっている。
・家賃と、光熱費・食費も含めて、月に1人6万円負担。
 障害基礎年金と、それぞれセンターや授産所で働いた給料で賄っている。

★グループホームへ入るのは・・・
・友だちが欲しいから。
・グループホームと施設…施設では、職員がいて「決められちゃう」。グループホームでは、みんなで、力を合わせてやっていく。
・親が、外で暮らす、ということを理解しない。
・親が「いかん!」と言ったら…「自分のことは自分で決める」と。
・グループホームをすると言ったら、親に反対されたが、「自分でやる!」と。
・親が反対するのは…発作があるから。でも、グループホームなら、周りに人がいる。

★周囲の理解
・静岡のグループホームでは、「人として同じように…」と。
 回覧でも、「この人じゃ無理」ではなく、「回覧板なので渡してね」と、わかるように言えばいい。
・一生懸命やっていることを、周りの人にわかってもらうように…。
 例えば、町内の運動会があれば、必ず参加するように、と。そうすれば、「よく来たね」ということになる。町内会に入って、みんなと交流を深めて…そうすれば、何かあって、イザという時には手助けしてもらえる。
・グループホームも、町内の祭の重要なメンバーになっている。最初は、こちらから入っていっている。
・ホームヘルプとあわせて、月1回の泊まり、月1回の遊びに出かける、ということをしている。親は心配だったのだが、地域で受け入れられているというのを知って、安心しているようである。

■病院のこと〜病院は必ず行かないといけない所だが…■
・自閉症児にとっては、とっても恐ろしいらしい。
 病院の受付で、「自閉症ですから…」と言っても、いきなり治療が始まる。と、大パニック。その時は、押さえつけて済ませても、次からは、もっとたいへんになる。
 説明、やりようがあるだろう。
・受付で言っても、医者に伝わっていない。受付の人は、「自閉症」ということがわかっているのだろうか。医者は勉強しているだろうが…。
 その点では、歯医者はすすんでいる。説明をすると、点数になる(お金になる)。

■親としては…■
●ケース1
・3人子どもがいて、子どもはみんな心配だが、特に、自閉症の子どもは心配。「親亡き後は社会…」「遠くの親戚より近くの…」なので、地域で、と思う。
 心配だが、なるべく外へ出す、近所の人の中に置いておくようにしている。
・子ども会の行事では、必ず「私(母親)が行く」と言っている。1人の子どものために、子ども会の役員がかかりっきりになるのは、「申し訳ない」と。役員は、「お母さんがいなくても…」と言ってはくれるが、親は、パニックを起こしたら…と心配する。パニックを起こしても、ついていれば説明できる。
 支援費制度ができるまでは、私が行けないと子どもも行けない、ということになっていた。
・今夜は、グループホームへ夕食を食べに行っている。2回めの経験。心配すればキリがないが、今、どうすればいいか…と。いろんな人たちの助けを借りれば暮らせるんじゃないか…と。
・子どもの背中に「自閉症です。連絡ください」とシールを貼りたい、と思っていた。
 ただの「躾の悪い子」と見られる。近所の人には、徐々に知られていく。町内の人たちに知ってもらう…でも、町内の会に出てくる人には知られていくが、そうでない人もいる。
 大きくなって、家の中ばかりにいると、みんな知らない、ということになる。
・たくさんの会がある。そこで、親はつながることができる、情報も入る。
 会に入って来る人もいろいろであるが…。親も、子も、いろいろである。
●ケース2
・3人のそれぞれに異なった障害がある。それぞれに、サポートブックをつくって、わかってもらうようにした。
 支援費制度が始まってからはガイドヘルパーに学童保育へ送っていってもらっている。それまでは、民生委員等に送ってもらっていた。
・ガイドヘルパー無しで…といっても、周りの人たちは、「どうやればいい?」ということになる。それをつなぐのがヘルパーだろうか。「仲介役」。


■知的障害とまちづくり?■
★サイン、ピクトグラム
・トイレをどう探しているか?
 漢字、英語は…わかる?、男女の表示の色で判断している。でも、ウイルあいちのトイレは、色が無い。
 勘が働くらしいが、建物の隅の方へ行っても無いと…ウロウロすることになる。
・サインを統一するといい。
 ピクトグラムや、押すと音が出るしかけ…。
 外国人でも目で見てわかる。

★喫茶店等で…
・喫茶店やレストランで、ボックス席がある。1つでいいから、完全に音を遮断できる席が欲しい。集中して食べる→「おいしい」と思う→おいしい所へいきたい…ということで、次から、店で音楽が鳴っていても、行ける。

★文書、説明…選べる仕組みの保障
・支援費制度で、自分で契約する、といっても、わからない。文書が届いても、ルビ無し、説明無しでは、わからない。関係する広報には、ルビをふるように。
・契約関係が、当人に説明されない。
 当人を一番無視するのは、親。親以外の第3者、後見人がいる。
 選べるしくみを保障すること。

★街へ出ても、快適に、円滑に…
・街へ出ても、「育て方が悪い!」みたいにみられる。親は、子どもが可愛い。子どもを抱え込む。親にとって、人生の「目的」みたいになる。2人きりの世界をつくっていく。
 親子一緒に出かけても、快適なら、街へ出られるだろう。
・支援費制度ができた。まちへ出る、それが円滑にできるように。
・車いすの重度障害者が施設からまちへ出たのが、30年前。今、知的障害者がようやくまちに、意識的に出る、まちで暮らし始めた。
・知的障害者のヘルパーの講習テキストがない。
 それは、当事者がみんな施設に入っている、まちで暮らしていないから。まちでの支援の方法が整理されていない。
 アウトドアでの介助はむつかしい。

■障害者差別禁止■
・今の街づくり条例は、ハードに力点がある。次は、ソフトだろう。
 その時に、「差別禁止」。罰則のあるものとして。
 理念法として、「障害者を排除するのを禁ずる」と。
・差別禁止法は必要だろうが、その前に、理解がされていない。
 先にダメと言われてしまう。仲介する人や、、理解できるように伝える人がいて、理解が深まれば変わるだろう。
 障害者がいる、いろんな困っている人がいる…まず、「わかってヨ!」と。バリアの前にある障害理解を。
 それをどういう形ですすめるか。
・学習で何とかなるなら、車いす使用者用の駐車場に、高級車が停まることはないだろう。
 点字ブロックの上に、自転車を置いたりはしないだろう。
 法律で禁じないと、できないのではないか。法律で禁止されて、それにビックリして…、で、啓蒙される、と。
 日本では、法律でしばらないとすすまない。理念だけでも、盛り込むべき。
・地域で暮らしたい…ということが、まだ、早すぎるのかもしれない。でも、もう暮らし始めている。良くなるのが、10年先、20年先では、困る。
・当事者は「差別禁止」を言うが、親は言わない。遠慮か?
・車いす使用者にとっては、段差やトイレがバリアだが、知的障害者にとっては(車いす使用者にとっても)、人の心。
 建物や交通についてのハートビル法やバリアフリー法とは別に、差別禁止法を。
・今の条例を広げるのか、それとも、わりきってもう1つ差別禁止条例をつくるか。

●精神障害者は、どうする?
 知的障害者の何倍もいる。

(記録:星野広美)

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