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提案・研究会

トップページ提案・研究会愛知のひとまちを良くしたいWS第7回

第7回 「暮らし」と「まち」の課題〜聴覚障害とその支援の視点から

■とき:2003年10月31日(金)夜6時30分〜9時00分
■ところ:あいちNPO交流プラザ(名古屋市中区三の丸3-2-1 東大手庁舎1階)
■参加人数:22名(うち要約筆記者3名)
■話題提供:高木、荒川(名難聴)黒田、吉田、酒井(愛難聴)ほか
※今回の参加者は、難聴・中途失聴者。ろう者とは、考え方が違うので注意。

福祉の街づくりでは聴覚障害者への対応が遅れていると感じる

スキー指導員の講習に手話通訳ができるように対応していきたい

バスや電車では文字表示が大切、安心して乗りたい

書画カメラ付プロジェクターで要約筆記をしました

手話通訳のように要約筆記も広く知って欲しい

 「人にやさしい街づくり条例を考えましょう。」ということではじめて、今日で7回目です。

 6回目以降のWSは、対象を限定しながらディスカッションをしていきたい。
今日は、聴覚障害と支援の視点で議論していく。

1回目は、愛知県の条例を読む。
2〜5回目は、その条例の結果どうだったか。
 ハートビル法・交通バリアフリー法ができた。実際にどう動いているのか、どう使われているのか、を学習した。
他の県が条例をつくって10年が経ち、条例の改正をしている。兵庫県が去年の秋に改正した。それまで100u以上が対象であった。これを100u以下も対象にした。大阪府は今年の4月に条例を変えた。これまで、大きいものを対象にし、移動障害を中心に条例が組み立てれられていた。改定には、移動障害に加えて視覚障害も条例の中に盛り込むことを大阪府はした。大幅に盛り込んだ訳ではない。 愛知県でも10年前につくった条例を変えようという動きがある。できれば、もっといい形で変えれないだろうか。ということでWSをはじめた。

6回目は、「視覚障害とその支援」主に梅尾さん(生まれてまもなく失明)橋井さん(弱視から段々進んで失明)という方、会場には弱視のグループの方がおり、視覚障害の視点でディスカッションをした。今の条例をどう変えるかという視点で話した。

 今、街の中で聴覚障害の方が街についてどう思っているのか、支援する人たちがどう見ているのか、聴覚障害の視点で条例に盛り込んでいくものには何があるのか、どういう形で盛り込んでいくことが可能なのか。をディスカッションしたい。
 一方的に主張すれば、盛り込める・・?たくさんの方の共感を得なければ、条例に盛り込んでいけない。 そこで、条例に何が盛り込めるのか、現実に何に困っているか、話題提供をお願いします。

■ 話題提供と議論 ■

・「福祉のまちづくり」ということで、委員会等へ出ていていつも感じるのは、聴覚障害者への対応が遅れているということ。
・中部新空港・博覧会に対しても、意見を述べているが、「聞くだけ、検討する・考えているだけ」で、その先がない。その結果、毎年同じことを言うことになる。できること、できないことを、言ってくれれば、それぞれ対応していけるのだが…。

<文字情報、視覚情報>
・視覚情報をもっと多くできないか?
補聴器を使っていても、音声は明瞭度がとれないので音として聞こえていない。これから、日本では、高齢者が増えていくので、文字情報・視覚情報がいいのではないか?
・車いすの人が段差にバリアを感ずるように、私たちは、文字がないとバリアを感ずる。文字による情報がほしい。文字情報がないと社会参加できない。
・音声情報があるところには、すべて文字情報をお願いしたい。または、バイブレーターか光で知らせて欲しい。
・緊急時には、光または振動で、何かあった!と、注意させるように。

<手話通訳・要約筆記のこと>
・聴覚障害児の教育が変わった。耳の悪い子が学校へ通っていて、手話通訳や要約筆記の公費派遣を要求しているが、進まない。
・聾唖者は、1人の手話通訳で。私たちは、OHPやPCでの要約筆記で、みんながわかる。ただし、PCは、面倒である。OHCは、すぐに書ける。

<手話通訳の派遣>
・AJUわだちコンピュータハウスに、2人の聴覚障害者が働いている。
週1回、会議があるが、以前は、ボランティアで手話通訳をしてもらっていたが、家庭の事情でできなくなって…。
・手話通訳は、公費か、実費かはあるが、名古屋市であれば、全て派遣している。ただ、18歳以下は派遣できないので、これは困る。

<公共施設では…>
・公共施設については、磁気ループ、赤外線等の設置を求める。
・公共の場では、磁気ループの設置を…でも、磁気は、心臓ペースメーカーの人に害を及ぼす。磁気ループが無理なら、赤外線方式の補聴を求めたい。
・公的施設には、磁気ループ、要約筆記のためのOHPスクリーンを常備して欲しい。一人であれば、ノートテイクですむが…。

<選挙>
・選挙は使えない。
・候補者が書いたものを見せられない。
・テレビの政見放送の字幕はダメ。ダメダメで全部ダメ。
・選挙権はあっても非国民扱いである。どうしたら候補者の選挙公約の内容がつかめるのか。愛知県選挙管理委員会、総務省の選挙管理委員会に言っていますが・・で終っている。進展がない。

<国土交通省が所管しての交通バリアフリー法が制定されて…>
・新幹線のホームの電光掲示板が変わった。
・車両をたくさん連結した電車だと、途中の駅で車両が切り離されて、とんでもない所に行ってしまうことがある。そういう時に、情報が欲しい。
・地下鉄で、次はどこの駅?、次の駅でどちらが開く?、という表示が欲しい。切符売り場で、呼び出しボタンを押しても…インタホンからの声が聞こえないので、来てくれるまで押し続けることになる。すると、駅員は「いつまで押してんだ!」というけど…。

<バス停の標識・表示>
・豊橋の身障会館へ出かけた時、バスに乗っていて、停留所がどこかわからないので、とても心配だった。それで、運転手に「教えて…」と言っておいた。運転手が教えてくれたので助かった。
・地方へ行くと、バスでは、何も案内がない。停留所の数を数えて乗っていく。電車では、かかる時間をはかっている。通訳ボランティアがいないときは、降りるのが心配で一番前に乗る。もっと標識を!。駅の柱に小さい字で、駅名が書いてはあるがどこから見てもはっきりとわかるようにしてほしい。
・名古屋では、バス停は、すぐ改善してもらった。
・車いすのことは、誰でもわかる。でも、私たちも、停留所がわからずに、不安いっぱいで乗っている 小さい駅は、暗い。夜は、景色もわからない。駅名が電気でわかるようにしてほしい。1箇所ではなく、たくさん表示してほしい。
・横浜の地下鉄は、乗っていてよくわかる。駅の表示がたくさんある。名古屋は、広告ばかりで、肝心のお客相手のサービス(路線図)がない。
・いろいろやっているが、相手が、JR・私鉄のように、大きなところだと、団体で声を出していかないと届かない。

<病院のこと>
・「耳マーク」を持って行ったりするが…、呼ばれても聞こえず、ずう〜っと待っていたりする。誰かを一緒に連れていかないと、困ってしまう。
・病院を利用しやすくするために、昔、病院のガイドブックを聴覚障害者団体で発行した。
 また、受診時には耳マークを付けて、聞こえないことをアピールすることを行った。聞こえないことを看護婦さんに知ってもらうためだ。何も言わずに待っていると、呼ばれた声が聞こえずに後回しにされてしまうからだ。診察時は、予め紙に書いていくと先生も書いて対応してくれる。書いていかないと、話せるために聞こえないことを理解してもらえないことがある。

<検診>
・がん家系なので、がん検査を受診したことがある。しかし、検査ができずに「帰りなさい」と言われた。会話が成立しないためである。 
・胃検診を受けたことがある。
くれぐれも「聞こえないので…」と言っておいても、次々に指示を言われると、対応できない。検査室に入って、指示に従ってバリウムを飲む。しかし、指示の声が聞こえないために、バリウムを飲む時、飲む量がわからない。その上、機械の動きに合わせて体位変換の指示がでるが、指示がわからずにレントゲン台から落ちた。検査ができないと怒られた。悔しくて泣いた。
・相手は、補聴器を付けていれば聞こえると思っている。昔はそんなに性能がよくなく、聞こえなかった。補聴器を使っても聞こえない。そういうことを、医療に関わる人が知らない。
・100名にアンケートを取った。20年以上検査を受けていない人もいた。
・聴こえない者に特別の検診車を出して!と要望して、昭和62年から、聴覚障害者のために、乳がん・胃がん検診をしている。検診では、ノートテイクする人に書いてもらっている。安心して検診ができる。ただ、会員は、こうして受診できるからいいけど、会員以外の人たちは、どうしているのだろうか?
「じゃあ、車いすの人は、どうやって検診するのか?」と新聞社の人が言っていた。そこまでは、思いが至らなかった。

<FAX>
・私は、電話ができないので、FAXを使う。友人とは、携帯のメールを使う。
・保健所にFAXのある歯医者を聞いて、FAXで予約したら、叱られた。
・FAXでの育児相談の予約をしたら、駄目だと言われた。FAXでは対応できないので、「電話で予約してください」と。「耳が不自由なので」と書いてFAXをしたが、お断り!だった。「FAXでの予約はご遠慮下さい」とハッキリ書いてある。FAXなら自分で申込みができるのに…と、矛盾を感じる。 
・FAXが必要だから福祉制度で借りられる…なのに、使えない?

<条例について>
・愛難聴で、役員に通知を出して、今日来たのは、4名。
・条例については、パソコンから情報を取り出し読んだが、今の条例では、聴覚障害者への配慮事項は記されていない。聴覚障害は、障害の部類に入っていないのかと錯覚する

<困りごとアンケートから…>
・困りごとアンケートをしたが、すごい量の回答が届いている。
・トイレを使うとき、使用中かどうか、ノックする。でも、聞こえないから、開けてみないとわからない。使用中の表示がでるように…。また、表示の色を統一してほしい。
・トイレは、密室状態。災害があってもわからない。キセノンランプ(フラッシュするランプ)を付けて欲しい。
・EVのかご内での放送が聞こえない。
 双方向にドアが付いているEVでは、どちらのドアが開くかわからない。定員オーバーのとき、アナウンス・ブザーが鳴るが、わからない。知らずに乗っていたら、私の前に乗っていた人が降りて、動いたことで気がついた。「一番最後に乗ってきて、なぜ降りないんだ」という目でじろじろ見られた。この辛い思いでは忘れられない。音声ではなく、文字で表示されればわかるのに…。
・中部新空港では、音声と共に、文字を流すシステムが採用されることになった。
 でも、緊急ボタンを押しても、インタホンで管理人室との応答ができない。それで、画像カメラを…と言ったが、コストがかかるから駄目ということになっている。
・EVの非常用インターホン、駐車場のインターホン、音声のインターホンは、聞こえない者が困る。
「聞こえない人」がいるということを知って設置して欲しい。

<災害時には…>
・西枇杷島の水害では、道路が水につかった。避難命令が出ていたが、聞こえなかった。聴覚障害者には連絡がなかった。朝起きて、外を見てびっくりした。たまたま自宅が高台だったために被害がなかったが、「なぜ、非難しないのか。」と怒られた。それは聞こえないためなのに。
・阪神淡路大震災の時は、情報が入らずに凄く困った。人がぞろぞろ行くからついていくとオムツの配給だったりした。わたしたちは、すべて視覚で情報を入手する。文字の情報がほしかった。
・災害時には、情報が入らない。NHKでも遅れる。リアルタイムでの情報が入らない。
・中部、全国の災害情報発信を担当しているが、著作権の問題があると言われる。
 県や市の防災無線を障害者の協会や団体に流してもらえないだろうか。
・警報もリアルタイムで。
・情報を入れるルートがない。
・県警は、ホームページ方式なので、伝わりにくい。メール方式で直接届けないと…。

<緊急時>
・平常時は文字情報で、緊急時は、光または、バイブレーターで知らせてほしい。

<日常生活では…>
・自宅内では、お知らせランプを設置してある。電話が鳴ったり、玄関のインターホンが鳴るとランプがくるくる回って光る。光ることでわかる。
・マンション生活をする人が増えている。大きな音は近所迷惑になるが、子どもたちが走り回って大きな音を立てても、どれくらいの音が、迷惑なのかがわからない。TVの音を、夜も、昼間と同じようにしていて、怒られたり…。
・東海豪雨のときは、3階に住んでいた人が、避難しなさい…というのが聞こえなくて、避難していなくて、怒られたり…。
・音が聞こえなくて、冷蔵庫の扉を開けっ放しにして、中のものを腐らせたり、換気扇を回しっぱなしにしていたり…。
・音声案内のある家電品が多いが、機械が話していることが文字化されるとよい。

<ホテルの一人部屋で…>
・視覚情報が欲しい。
・緊急時にボタン1つで知らせることができるように。

<制度が、市町村で、まちまち…>
・補聴器の交付はいいが、修理は、市町村によっては、認定医・判定員の判定が必要というところがあった。それは「必要ない」という通知が出されて、統一された。

<進めるために…>
・黙っていては、いけない。聞こえないということが相手にわからない。誤解が多い。
・名古屋市や県では、通知が出ているが…。上からきちんとルールを示すこと。
・聴覚障害者の中でも考えはいろいろある。
・何かを動かす、するときは、障害者、聴覚障害者の代表を委員会に入れるようにして欲しい。

<聞こえないことを理解されない>
・話ができるために、「聴覚障害者だ」とこちらから言わないとわからない。
「話せる」ことが、バリアになっていることを知っていただきたい。

<車いす障害者と…>
・港区で開催された「重度障害者の生活をよくする会」の会合に初めて出た。その時に、私たちのためのモノは何も無い…と思った。ものには順序があるので、重度の人の生活がよくならないと、私たちも…と思った。
・私たちはおいしい食堂を…と探すが、車いすの人はおいしい食堂を探すのではなく、車いすで入れる店を探すのが大変だと感じた。

<要約筆記者から>
手話通訳はよく知られているが、聞こえない人たちに文字を書いて通訳するということも知って欲しい。ボランティアがなかなか育たない。


■ 参加者の感想と課題提起 ■
・新城で、図書館の検証をした。
耳栓をして、聴覚障害者の疑似体験をした。でも、聴覚障害者のことがわからない。想像ができない。そうであれば、当事者の意見を聞くことが必要だろう。
・条例の中に聴覚障害者のことが入っていない。条例を見直す必要がある。
・手話通訳者から電話があった。「スキーの準指導委員を目指しているが、聴覚障害がある。なんとかならないか…」と。
スキー場での講習が必要なので、準指導員の検定受験者は、手話通訳者を連れて行かないといけない。
スキー連盟には、障害者スキー連盟というのもある。しかし、その人は、スキー連盟の指導員を目指しているという。こうしたことにも対応できるようにしていきたい。
・いろいろな障害のある人たちが一堂に会して話し合うことが必要だ。
・災害時のことは、肢体の障害者とも共通する。情報の流し方、受け取り方について、ルール化が必要だ。
・地下鉄のドアの上に、電光掲示板の表示がある。あれは便利である。障害がなくても、あれば便利…というもの。
・磁気ループのことは、最近知った。貸してもらえるが、運搬がたいへんだ。会場に、磁気ループがあるといい。磁気ループの存在とか、有効さを、施設側は知らない。

(記録:小寺岸子)

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