トップページ>提案・研究会>愛知のひとまちを良くしたいWS>第5回
■とき:2003年9月29日(月)夜6時45分〜9時10分 ■ところ:AJU自立の家サマリアハウス (名古屋市昭和区恵方町2−15) ■参加人数:20名 ■お話:星野広美 ■配付資料: ・第4回WSの議事録 ・全国「福祉のまちづくり条例」改正状況調査 〜TOTO UD研究所 調査〜 (2003.8.11.) ・福祉のまちづくり条例改正について(兵庫県) ・福祉のまちづくり条例(兵庫県) ・条例の一部改正について(大阪府) ・大阪府福祉のまちづくり条例及び大阪府建築基準法施行条例改正(概要) ・「滋賀県住みよい福祉のまちづくり条例」改正に係る検討事項 |
◆全国の「福祉のまちづくり条例」改正の動きについて・・・
これまでに、福祉のまちづくり条例は、ほとんどの都道府県がつくった。現在、全国で福祉のまちづくり条例が改正されようとしている。多くの福祉のまちづくり条例は、ハートビル法ができてからつくられていて、同法で定められている整備基準等を条例に組み入れているため、去年、同法が改正されたのに伴い、条例の見直しへとなった。また、交通バリアフリー法ができ、ハートビル法で謳われていなかった、車両等・道路・駅舎・駅周辺の整備など、交通に関することも考えるようになった。既に、兵庫県は昨年の10月、大阪府は今年の4月に条例を改正した(兵庫県、大阪府は、福祉のまちづくり条例を全国で最初につくっている)。
<全国「福祉のまちづくり条例」改正状況調査>
TOTOが2003年5月22日〜6月11日に掛けて調査実施。条例にはトイレについての項目もあるので、メーカーにとっても、関心のあること。
改正済みが2、改正予定が26、とあって、半数以上の都道府県が準備を進めていることがわかる。(TOTO資料)
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愛知県は、まだ、検討委員会を開いているところである。素案をつくってしまったところもある。北海道は、改正素案をだしている。検討会の結果を公表しているところもある。滋賀県は、「ユニバーサルデザインの導入」「利用者の参加・参画」「ものづくりの推進」「整備基準の充実と整備基準が守られる仕組みづくり」「より積極的な施設整備への誘導」「施設整備と意識の高揚」「協働のまちづくり」など、懇話会の提言とその対応を公表している。
(ここ数年で変わってきたことだが、各自治体のホームページで検討結果や案、パブリックコメントしているなど、情報公開されている。)
条例を改正せず、ハートビル法に準ずるというところが17ある。改正ハートビル法では2000u以上の建物について、基準適用が努力義務から義務になり、罰則についての項目もあり、条例を変えなくても…という考えによるものと思われる。しかし、これまで、100u以上、500u以上を対象にしている条例もあるので、ハートビル法で対応するということだけでいいのかどうか…。
■■ 大阪府の福祉のまちづくり条例 ■■ ●改正ポイント ●改正概要 ●特定施設の見直し ●整備基準の見直し |
■■ 兵庫県の福祉のまちづくり条例 ■■ ●対象施設 ●基準 |
■■ 概括すると… ■■
★対象について、大幅に改めているが…
・条例で「100u未満の施設」を対象にしても、持ち主がそういったことを知らない場合、届け出をしない。
・建築基準法では、建物を建築するとき確認申請をだすことになっている。
100u以上の店舗は1号建築物に、普通の木造住宅は4号建築物に分類される。
都市計画区域外では、4号建築物は確認申請をださない。そうすると、届け出が必要かどうか、把握できない。したがって、基準を確実に守ってもらうことができない。
・申請や届け出を出すということは、基準を守っているから出す、ということになる。そこに手続きを課す意味がある。
・対象を100u以上にするか200u以上にするかは、大きな違いがある。
コンビニは100u以下のものは、ほとんどなく150uぐらい。対象を200u以上に限ると対象外になる。ファミリーレストランについても同様。
★災害時の対応について
・防火扉には、くぐり戸が付いているが、くぐり戸に下枠があるので、車いすでは通れない。もっとも、くぐり戸の先は階段しかない場合が多いが・・・。
・避難口誘導灯だけでは、視覚障害の人だけではなく、聴覚障害の人にもわからない。
★まとめ
・改正された2つの条例の基準は、これまでと大幅には変わってはいない。
・オストメイト対応のトイレ設置など、時代の流れを取り入れた。
・これまでの福祉のまちづくり条例では、対象は車いす使用者となっていたが、視覚、聴覚の障害についても対象になってきている。
・兵庫県では100u未満の施設について、大阪府では、500u以上から200u以上と対象を広げている。
愛知県は、現在100u以上を対象にしているが、改正にあたりどうするか?
・テクニカルな問題をどうしていくか。
・北海道の案では、「福祉人材の養成」「総合的なサービス提供体制の整備」など、施策内容を詳細にだしている。
(以下、質疑応答、討議・・・)
●罰則規定はないのか?
・「勧告」「公表」はあるが、基準を守らなかったからということではなく、事前協
議を行わないで工事をしたという手続き違反、事前協議とは異なる内容の工事を行っ
たとき、適合状況についての報告をしなかったときに適用される。
大阪をはじめ、他県の条例でも同様。
・罰則規定を条例で定めることは可能だが、条例の基本とするものは「努力義務」で
ある。「努めていればよい」ことになる。罰則を付けるということであれば、「ねば
ならない」とはっきり義務付けしないといけない。
・企業にとって、罰金というのはそれほど大きな問題ではないのではないか?。それ
よりも、不買運動のような社会的制裁の方が効くのではないか。
●トイレを例にとって…
・車いすの人が多数で施設を利用するとき、車いす対応のトイレがひとつしかなく困ることがある。便座のところまで車いすでアプローチできるよう扉など有効幅について基準を設けることはできないか?
・基準でトイレブースの扉の有効幅を80p以上とすると、技術的には可能だが「扉を支える」ということを考えないといけなくなる。また、トイレブースそれ自体を広げるといっていることと同じことになる。トイレブースを広くすれば、トイレの個数に影響してくる。劇場など施設の用途によっては、個数を確保したいところもあるだろう。
・個数については、中部国際空港のときに検証があったのではないか?
・ホテルに宿泊したとき、数pのことで、ユニットバス内へ車いすで入れず、便座のところまでいけなかった。これは、ユニットバスをつくっているメーカーにものをいっていかないと。
・障害といっても、様々。視覚や聴覚、視覚でも、弱視とかあって・・・。ハードだけで対応するのは難しい。ソフトの対応が必要。
●建築確認の事務が、民間でもできるという話を聞くが・・・
・これまでは、県の窓口で確認申請と条例の適合の手続きを併せて行っていた。そういうことで、チェックがされていたが・・・建築申請が民間でもできることになると、条例の手続きとは切り離されるので、条例に適合していない建物についても建築申請が通ってしまう場合があるだろう。そういったことに対して、これからどうしていくか。
・適合証をもらっている建物で使いにくい建物があるが、それはなぜか?
<今後のテーマ>
●対象者(車いす、視覚、聴覚、子ども連れ/不特定多数と特定少数)と基準
●非日常について(災害、働く場所)
●テクニック(罰則、誉める)
●もっと使いやすくするためのしかけ
・ユーザーとメーカーの間に・・・
(記録:橋本知佳)
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