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提案・研究会

トップページ提案・研究会愛知のひとまちを良くしたいWS第3回

第3回 「人にやさしい街づくりの推進に関する条例」制定以降の動きと、
     施策展開の方法

■とき:2003年9月10日(水)夜6時45分〜8時45分
■ところ:AJU自立の家サマリアハウス (名古屋市昭和区恵方町2−15)
■参加人数:18名
■お話:星野広美
■配付資料:
・第2回WSの議事録
・愛知県の人にやさしい街づくりプロジェクトから
・愛知の「ひとまち」を良くしたいワークショップのお知らせ・・・3回め・4回めの案内

障害者運動とひとまち条例の制定は無関係でない

条例というしくみが街を変えてきた、こんな車いすを見かけることも普通

トーキング・エイド(会話や筆談が困難な方のための携帯型コミュニケーション機器)ユーザーが参加しています

どんな「補助金」があったらいいかな?



自己紹介をします・・・ヘルパーさんの参加もあります。

 


■条例は「しくみ」のひとつ・・・
 人にやさしい街づくりの推進に関する条例が制定されて、8年経つ。条例制定以降、どのように変わってきたかについては、実感されているのではないか?使いにくいところがあるかもしれないが、ある程度の大きさの建物には車いすで利用できるトイレが設置されたり、通路には点字ブロックが設置されてきた。
  そういったものの整備・設置が進んだ理由は、「条例に書いてあるから」だといえる。「しくみ」がないと「動き」はでてこない。施策展開を知ることで、もっとよいしくみを考えられるのではないか?

■条例制定以降の動き
<それ以前の国外・国内の動き・・・>

 1981年の国際障害者年、国連・障害者の10年、アジア太平洋障害者の10年。あるいは、北欧のノーマライゼーション、アメリカのバリアフリー、近年ではユニバーサルデザインといった動きがある。日本国内では、障害者の「福祉のまちづくり」運動が、それまで20年ぐらい続いていた。いくつかの自治体では、「福祉のまちづくり要綱」を持っていた。このような動きと前後して、愛知県の人街条例は、1994年10月一部施行、1995年4月全面施行。そして、全国に「福祉のまちづくり条例」がつくられていった。

<様々な福祉のまちづくり条例>
 一口に福祉のまちづくり条例といっても、対象とする施設、整備の要求の仕方などに違いがあり、条例の中身は様々である。愛知県の条例は、店舗の場合、100u以上あれば相応の整備をして、届け出をすることになっているが、他の県では500u以上としてあるところもある。条例の手続きに従わない時には、勧告や名前の公表を謳っているところもある。また、愛知県の条例では、「移動」「利用」がキーワードになっており、基本計画の策定についても書いてある。
 これらの違いは、地方のそれぞれの過去(行政や運動の歴史)が反映され、策定された条例の到達段階が異なる。しかし、せっかくつくるなら、「機能する」条例をつくらないと意味がない。また、条例をつくるだけではなく、それを担っていく人、支えていく人が必要である。

<ひとまち条例のしくみと条例をめぐる動き・・・>
 愛知県の条例では、届け出たものを審査するしくみ。基準に合っていればOKし、そうでなければ指導する。基準は「最低、これぐらいあれば・・・」というような簡単なものになっているので、守りやすい。
 しかし、どれだけ「使いやすくするか」については、作り手側の力量や考え方による。道路や公園は役所がつくるので、マニュアル化されていく。一方、建築物は、建築士の力量やオーナーの考え方によるところが大きい。

●建築士に向けて、また建築士自身の取り組み・・・
 建物の基本的なことをプランニングするのは建築士の仕事。とすれば、建築士にしっかり仕事をしてもらえれば、使いやすい建物ができるのではないか?条例をスタートさせるにあたって、愛知県は、設計者を中心に広報を進めた。テキストを作成し、購入してもらい、研修を受けてもらった。手すりの高さとか細かいディテールの取扱いまでには到達しなかったかもしれないが、効果はあった。建築の設計者側に、使いやすさということを考えた設計へと向かう動きがある。
 ・JIA(日本建築家協会)東海支部の人街研の『ディテール集』など
 ・日本建築協会東海支部21世紀委員会のワーク

<マニュアル遵守型でそれ以上のことを考えない・・・>
 マニュアル化すると工夫をしない人がでてくる。工夫を誰が手助けするか? 昔は役所だったが・・・。当事者自身が工夫に関与するような、新しいしくみが必要だろう。

■施策展開の方法
<条例ではない別の手法、「補助」について・・・>

 建物一つひとつをということだけでなく、「まち全体」を考えられないか?県ではなく、市町村ががんばれないか?そういう視点での、計画策定やモデル地区整備への「補助」は有効だったのではないだろうか。

●市町村計画策定、モデル地区整備
 コンサルタントに計画を策定してもらった市町村もあったが、多くの市町村では、計画策定に様々な人たちが参加した。これまでは、専門家や団体のリーダーといった限られた人たちで計画はつくられてきたが、専門家や地域の代表ではない「地域の人たち」が参加した。車いすの人の参加もあった。そういったことを市町村側も初めて経験した。

●駅の整備(EV設置)

●住宅リフォーム
 条例には住宅のことはあまり書いてないが・・・。住宅リフォームヘルパーとして、専門分野の人たちが共同してチームを組み、支援していくシステムがつくられていた。(1996年度〜1999年度)
 しかし、2000年度に、介護保険がスタートし、住宅リフォームは介護保険の対象となり、システムは後退したり、消え去ったりした。介護保険では、1住宅1回限り20万円で、本人は1割負担。一気に需要が顕在化して、リフォームの件数は、県内年間2万件(10倍)になっている。

<規制、奨励ではない方法>
◆「人にやさいしい街づくり賞」など、建物や活動に対して表彰する
◆市民向けの、「人にやさしい街づくり地域セミナー」の開催
◆大学生が考える「人にやさしい街づくり」
◆「人にやさしい街づくり連続講座」の開催
 ・県主催で1995年以来毎年1回、名古屋市で開催。
  東三河は、豊橋市など持ち回りで1997年より開催。
 ・グループのリーダーが講座に参加し、バージョンアップして、その後の運動へ
 ・福祉からまちづくりへ意識の変化など
 ・受講者が講座の運営側へ
 ・グループワークでは、受講者と専門家のコラボレーション

<今後の課題>
 財政難の折り、「補助」は減ってきている。専門家だけにがんばってもらえばよいのか?何か違う方法を探すのか?

(参加者全員の自己紹介)


■以下、質疑応答・討議・・・
・県によって補助金の種類が多いか少ないかは分け方によるが、愛知県では、ハードに対してのものはひととおりあるのではないか。
・補助金は、利用者個人に直接支給されるものと、市町村やメーカーを通して支給されたりして効果が出る間接的なものとある。
・財源は無限にあるわけではないので、「どう制限するか?」ということになる。
・補助金は税金から成っているので、世の中がそれは必要だと認めるものになる。例えば、1日5000人の乗降客が利用する駅のEV設置に対して補助金が出るのもそういったこと。
・1階がピロティーになっているファミリーレストランのEV設置に補助金をというのは、世の中で認められるかといえば難しいであろう。
・「限定」をどう有効にさせるか?

(記録:橋本知佳)

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